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欧州連合(EU)は人気動画アプリ「TikTok」が、「中毒性のある設計」を使って利用者、特に未成年に悪影響を与えているとして、厳しく非難しました。対象となっているのは、無限スクロール機能、自動再生、そして個人ごとに最適化されたおすすめ表示などです。これらが「やめたくてもやめられない状態」を生み出し、特に子どもの心の健康に悪影響を及ぼしていると指摘されています。
EUの新しい「デジタルサービス法(DSA)」では、EU域内で4,500万人以上の利用者を持つ大手プラットフォームに対し、このような“システム的リスク”を防ぐ責任を課しています。違反が認められた場合、TikTokは世界全体の売上高の最大6%(推計では約21億ドル)の罰金を科される可能性があります。これはSNS企業への規制強化の中でも、特に厳しい措置です。
TikTokは「根拠のない主張」と反論
TikTok側はEUの主張を「まったくの虚偽であり、根拠のないもの」として全面的に否定しています。会社側には最終的な罰則が決まる前に反論する機会が与えられていますが、違反が確定すれば数十億ドル規模の罰金が科される可能性があります。TikTokは現在、ヨーロッパだけで2億人以上の利用者を抱えています。
広がる「SNSと若者の安全」への懸念
この問題はEUだけでなく、世界的な動きの一環でもあります。フランス、ドイツ、スペインなどは、16歳未満の子どもがSNSを使うことを制限する新たな法律を検討中です。アメリカでも、TikTokやMeta(Facebook・Instagramの運営会社)は「若者のメンタルヘルスに悪影響を与えた」として複数の州から訴訟を起こされています。
テスラやX(旧Twitter)のCEOであるイーロン・マスク氏は、EUの政策を「官僚の化け物(bureaucratic monster)」と批判。彼の運営するXも透明性の欠如を理由に1億2,000万ユーロの罰金を科されています。
「言論の自由」か「安全の確保」か
新しいデジタルサービス法(DSA)は、政府の監督権限をこれまでになく強める法律です。支持派は「大企業を責任ある行動に導くために必要だ」と評価する一方で、批判的な立場の人々は「国家による言論統制の強化につながる」と懸念しています。
スペインのサンチェス首相は、「ソーシャルメディアはもはや“失敗した国家”のようなものだ」と述べ、16歳未満のSNS禁止や、違法投稿に対して企業の経営陣を刑事責任に問う方針まで示しています。
さらに、TikTokはルーマニアの2024年大統領選挙において「外国からの政治介入」に加担したとして、EU委員会から別の調査も受けています。TikTok側はこれも否定しています。
今後の焦点
今回のEUによるTikTokへの厳しい対応は、世界各国がどのようにインターネット空間を管理・制限していくかという「新しい時代の始まり」を象徴しています。「有害」とされる情報を誰が、どの基準で判断するのか。そしてそれが言論の自由をどこまで損なうのか――この議論は、これから長く続くことになりそうです。
現時点でTikTokは制度の狭間で揺れており、“安全”と“自由”のどちらを優先するかという難しい問いが、世界中で問われています。





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