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「Go Big or Get Out」――アメリカの家族農場を消し去った政策の本質

「Go Big or Get Out」――アメリカの家族農場を消し去った政策の本質 自然農
「Go Big or Get Out」――アメリカの家族農場を消し去った政策の本質

Robert W Malone MD, MS | 2025年7月21日

日本の農業政策にも通じる記事がありましたのでまとめてみました。

"Go Big or Get Out"
Or...How the USDA crushed the family farm

◆「家族農場の終焉」は仕組まれていた

アメリカの農業といえば、広大な大地に家族が力を合わせて営む伝統的なファームを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、その姿は急速に消えています。そのきっかけを作ったのが、1970年代の農務長官アール・ブッツが推し進めた「大規模化一択」の政策でした。

ブッツ長官の代表的な言葉が、「Go Big or Get Out(大きくなるか、やめるか)」。これは表向き「効率化・近代化」という名目でしたが、実際には家族農家の消滅と、大資本による工場型農場(アグリビジネス)の独占を招きました。

  • 小規模・多様性ある家族農場は競争に敗れ、農村部のコミュニティは衰退。
  • 若者たちは都会へ流出、地方の町には貧困と人口減少が残されました。

◆「食料で世界を救う」その裏にあった大義名分

ブッツ政策のもう一つの旗印は、「アメリカが世界の飢餓を救う責任がある」という理想論です。彼は大量生産・コスト削減・輸出拡大を推進し、トウモロコシ・小麦・大豆など商品作物への補助金政策を強化。市場を「農家の柵から柵まで」作物で埋め尽くすよう農家に圧力を掛けました。

しかし実態はどうだったでしょうか。

  • 価格決定を自由市場に任せるとしながらも、大規模農家向けへの補助金・ローン・保険制度はむしろ拡充。
  • 小規模農家は制度の複雑化とコスト負担で淘汰され、土地や富は大企業と一部の効率的な経営者に集中していきました。

◆環境負荷と社会への影響

大量生産・効率化の追求は、土壌や水質にも大きなダメージを与えました。

  • 化学肥料や農薬による土壌や水系の汚染が広がり、ミシシッピ川流域からメキシコ湾にかけての「デッドゾーン(死の海域)」などが拡大。
  • 豊かな土壌と引き換えに持続不可能な農業モデルが定着。
  • USDAの政策は、大企業による食肉加工や流通の寡占を進め、小さな地元の屠畜場や生産者が排除される結果となりました。

◆「補助金によるコントロール」と「規制という足かせ」

一見「自由な市場」といいながら、政府による規制や補助金はますます複雑化し、大手しか生き残れない構造を生んでいます。卵や食肉の安全基準・検査義務・ラベリング規制などは、大手には対応可能でも、地元の小規模生産者には過重な負担です。

政府と一部金融機関は、農業の規模拡大を「効率アップ・経済成長」の手段とみなし、農村の住民を都市の労働力市場へ“追い出す”構造を作ってきました。実際、2017〜2022年でアメリカでは14万件以上の農場が消滅。地方の町はゴーストタウン化しつつあります。

◆「食料」で世界を支配する狙い

膨大な穀物を生産することで、他国への食料援助という名の「地政学的兵器」として使う構想も背景にありました。こうした援助は時に相手国の自立性を奪い、アメリカ産の安い食材への依存を生みました。現地の農業は逆に壊され、食料不足や飢餓から抜け出せない国も出てきました。

◆大規模化がアメリカ人の健康を脅かす

USDAの推進する価格主導型の工業的大量生産食品は、「安価なカロリー」ばかりがあふれる一方で本物の栄養価を失いました。

  • 超加工食品、低品質な肉、安価な糖質や油分に頼る食生活が生活習慣病や肥満の蔓延につながっています。
  • 本来、小規模家族農家が生産する地元の野菜・果物・乳製品・卵・肉といった「ホールフード」こそが健全な身体を作りますが、これらは今や政策や流通の枠外に置かれてしまっています。

◆規制産業の本当の受益者とは

細かすぎる規制と補助金制度は、結局のところ大規模生産者=「ビッグビジネス」にとって都合よく作られています。コストやコンプライアンス、許認可が高いほど、資本力ある業者だけが生き残る——これは農業だけでなく、銀行・通信・医療など他業界にも共通する「規制産業のジレンマ」です。

◆根っからの“反骨”=家族農家・ホームステッドの再出発

いま、小規模農家や「ホームステッダー」(自給自足型の半独立農家)が“地元志向”で再び力をつけています。家族の一人が外で働き、もう一人が農場を守る。必要最小限だけを申請し、地元コミュニティで野菜や卵、肉を直接流通させ、消費者と顔の見える関係を作ります。

政府統計から漏れる“本当の小規模農家”は多く、実数は公式のカウントよりかなり多いのが実情です。多くは自己申告を避け、政府による規制や突然の家畜殺処分などを回避しています。

◆これからの食と社会のビジョン

  • “地方で生産し、地元で消費する”仕組みを支え、行政は小規模生産者の自由な営業を阻害しない制度設計が不可欠です。
  • 規制は「参考ラベル」程度にとどめ、消費者が自ら選択し、農家や生産者と直接付き合える社会へ。
  • コミュニティ主導・地域分散型の食料システムこそ、健全な食文化と地方の再生、そしてファミリーファームの復活の鍵となります。

小規模農家や家族農場を支えることは、アメリカだけでなく、日本を含むすべての国の健全な社会づくりに繋がります。「大きくなれ、さもなくば辞めろ」ではなく、「ひとりひとりの営みが、社会を支える」未来を選びませんか?

身近なファーマーズマーケットや地元農家を日々支え、小さくても力強い社会をみんなで作っていきましょう。


「Go Big or Get Out」――アメリカの家族農場を消し去った政策の本質

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