歴史好きの私としては、言葉の由来が結構気にあります。その中でも納得がいかない言葉が「遊女」です。字面からは「遊ぶ女」という感じですが、女性は決して自ら遊んでいるのではなく、遊ばれているわけで、そうすると正しくは「被遊女」というのが正しいのでは?と思います。
そんなわけで調べてみました。
遊女の語源は、その歴史的変遷と社会的位置付けを反映した複合的な要素から成立しています。平安時代以前の「あそびめ」から音読化した「ゆうじょ」への移行[1]、巫女や旅芸人としての側面[3][5]、さらには「客を遊ばせる存在」という機能的な解釈[1]が重なり合って形成されました。
語源の変遷と解釈
1. 「あそびめ」から「ゆうじょ」への音韻変化
平安時代以前、「遊女」は「あそび」や「あそびめ」と呼ばれ、主に芸能や祭祀に関わる女性を指しました[1]。これが漢字文化の浸透に伴い、中国語の音読み「ゆうじょ」が採用された背景には、当時の知識層による漢語への志向が影響しています[1]。
2. 巫女・旅芸人としての起源
遊女の原型は、神事に携わる巫女が世俗化した「遊行女婦(うかれめ)」に遡ります[3][5]。彼女たちは各地を巡り、歌舞や占いを行う一方で性的サービスも提供し、「浮かれる(楽しませる)女」の意から「うかれめ」と呼ばれました[5]。『万葉集』には既にこの呼称が確認され、平安期に「遊女」へ転化したとされます[1][4]。
「遊」の意味の変質
1. 移動と芸能の「遊」
「遊」は元来、「遊行(ゆぎょう)」のように移動を伴う宗教的巡礼を指し、遊女の漂泊性を示していました[5]。また芸能を「遊芸」と表現するように、音楽や舞踊による客の慰楽が本質的役割でした[3]。
2. 客主導の解釈への転換
中世以降、遊郭が公娼制度として整備されると、「遊ばせる女」という能動的意味が強調されます[1]。江戸時代の遊女屋では「客の欲望を『遊ばせる』ことで金を生む存在」という商人的論理が定着し、被搾取性よりも営業戦略としての側面が前面化しました[2]。
「被遊女」が定着しなかった理由
1. 身分的曖昧さ
遊女の出自は貧農の娘や人身売買の対象者が多く、自らの意志で職業を名乗る立場にありませんでした[4]。制度上は「遊女」という公称が管理の便宜上必要とされ、当事者の主体性を反映する命名が避けられたと考えられます。
2. 男権社会の言語構造
近世社会では遊女を「客の欲望を満たす装置」とみなす視点が支配的で、「被遊」という受動態で定義する発想自体が生じにくい状況でした[2]。遊郭の経営者(忘八)にとっては、遊女の客体化が利益確保に直結していた点も無関係ではありません[2]。
語源から見る歴史的実相
- 宗教的起源の痕跡
遊行女婦が神事の余興で性的奉仕を行ったように、遊女の起源には聖と俗の境界領域での役割が存在しました[3]。京都・北野天満宮の縁日と遊女の揚代金が共に「25匁」だった事実[2]は、宗教と遊里の密接な関係を示唆します。 - 芸能者としての評価
最高位の遊女「太夫」は古典文学や和歌の教養を必須とされ、単なる性労働者ではなく文化の担い手として認知されていました[4]。この点で「遊」は芸道の修練という能動的意味を包含しています。 - 近世的変容
豊臣秀吉の遊郭整備以降、遊女は「郭」に閉じ込められる存在となり[5]、語源にあった移動の自由は失われました。こうした実態と「遊」の語義の乖離が、ユーザーの指摘する矛盾を生んだと考えられます。

Citations:
[1] https://www.bou-tou.net/yujyo/
[2] https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/184715/
[3] https://mag.japaaan.com/archives/234591
[4] https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/177901/
[5] https://kakuyomu.jp/works/1177354054881194667/episodes/1177354054881194680
[6] https://mag.japaaan.com/archives/114932
[7] https://kotobank.jp/word/%E9%81%8A%E5%A5%B3-144739
[8] https://note.com/hiwanoha/n/n965ba43cee13
[9] https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1257642347
[10] http://tonan.seesaa.net/article/268936314.html
[11] https://serai.jp/hobby/1020184
[12] https://mag.japaaan.com/archives/234371
[13] https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/177901/
[14] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E9%AD%81
[15] https://www.mapion.co.jp/news/women/womanexcite-E1661811671296-all/
[16] https://www.studio-esperanto.com/blog/oiran/about_oiran
[17] https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/179000/
[18] https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000273751&page=ref_view
[19] https://gendai.media/articles/-/144549
[20] https://u-kochi.repo.nii.ac.jp/record/2402/files/02-%E4%BA%BA%E6%96%87%E3%83%BB%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%B7%A8-019-033.pdf
[21] https://news.yahoo.co.jp/articles/5b8977661db2ed04338508ef67c7e111fd1de8a6
[22] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8A%E5%A5%B3
[23] https://www.oiran-taiken.com/oiran_column/yuukaku_person.html
[24] https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00885/
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[27] https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4891
[28] https://bunshun.jp/articles/-/68805
[29] https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no16/03.html
[30] https://www.gentosha.jp/article/19498/
[31] https://tate-school.com/archives/1209
[32] https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1661811671296/
[33] https://053610.net/2024/10/26/%E8%8A%B1%E9%AD%81%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F-%E6%B1%9F%E6%88%B8%E3%81%AE%E8%8F%AF%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E6%96%87%E5%8C%96%E3%82%92%E8%B1%A1%E5%BE%B4%E3%81%99%E3%82%8B%E5%AD%98/
[34] https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c14901/
[35] https://note.com/tatsuroro1980/n/na233adb09436
[36] https://note.com/canna_chun/n/n9ba672f831fa




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