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古代日本の出挙制度の国際比較

古代日本の出挙制度は東アジアの穀物貸付システムと構造的類似性を保ちつつ律令官僚制の精密な法整備と文書管理によって独自の発展を遂げた。他地域の事例と比較して特筆すべきは国家による利子率の画一的管理 宗教実践との制度的連携 班田制との有機的結合 歴史
古代日本の出挙制度の国際比較

古代日本の出挙制度は、東アジアの農業社会に広く見られた穀物貸付システムと共通の基盤を持ちながらも、日本列島固有の社会構造と律令国家の特質を反映した独自の進化を遂げた。本報告では、中国・朝鮮半島・東南アジア・地中海世界の類似制度との体系的比較を通じて、出挙制度の特異性と普遍性を解明する。

東アジア諸国との比較分析

中国の青苗法との制度的差異

北宋時代の青苗法(1069年施行)は、春耕期に農民へ穀物を貸与し収穫時に20%の利子を徴収する制度で、出挙との表面的類似性が指摘される3。ただし、王安石が国家財政強化を主目的に設計した点が根本的に異なり、日本出挙が持つ共同体相互扶助の性格を欠いていた。青苗法の貸付対象が「戸等制」に基づく資産階層別選定であったのに対し、日本の班田農民への一律適用は、律令国家の均等支配理念を反映している3

唐代の「常平倉」制度は災害対策を主眼としたが、『唐律疏議』に規定された利子上限(月6%=年72%)は、日本出挙の私的貸付利子率(年100%)と比較して高い水準を示す3。この差異は、中国が貨幣経済の進展に伴い利子計算を短期単位で行ったのに対し、日本が年単位の稲作サイクルに依存した農業社会であったことに起因する。

朝鮮半島諸国の貸付制度

新羅の「貸食制」は、『三国史記』に記される飢饉対策を目的とした3年賦還の救済制度で、利子徴収を伴わない点が特徴的である3。高句麗の「出挙法」では貴族層が独自の貸付権限を有し、中央集権的な管理が行われなかったことが、日本との制度的差異を示す。特に高句麗の事例では、貸付元本が戦利品や略奪品で賄われるケースが多かったのに対し、日本出挙は正税稲を原資とした計画経済的色彩が強かった3

統一新羅時代の「賑貸法」は、日本出挙と同様に種籾貸付機能を有したが、仏教寺院が利子管理を担った点に特異性がある。慶州出土の漆器文書には、寺院が貸付記録を管理し、利子を仏事費用に充てた事例が確認される3。これに対し日本では、国衙が厳格な帳簿管理を行い、利稲を中央貢進物調達に活用する官僚制的システムが確立されていた13

東南アジア及びユーラシアの事例

アンコール朝の寺院貸付

カンボジアのアンコール碑文に記される寺院貸付制度は、利子の代わりに労働奉仕(寺院建設や灌漑整備)を求めた点で特筆される3。9世紀のプリヤ・コー碑文には、種籾1バリナ(約60kg)の貸付に対し、雨季に10日間の労働を義務付ける規定が残る。このシステムは、日本出挙が貨幣経済的要素を含んでいたのとは対照的に、物々交換経済の段階に留まっていたことを示唆する3

インドのアルタシャーストラ

古代インドのマウリヤ朝(紀元前4世紀)で編纂された『アルタシャーストラ』は、穀物貸付の利子率を季節別に規定(雨季15%、乾季10%)していた3。この気候条件に応じた柔軟な利子設定は、日本出挙の固定的な利子率(公50%・私100%)と比較して合理的であるが、実際の運用ではバラモン階級による恣意的な利子変更が頻発した点が文献資料から指摘される3

地中海世界との比較

ローマのファエヌス制度

共和政ローマのファエヌス(金貸し)は、十二表法(紀元前450年)で年利8.33%に制限されていたが、実際には100%を超える高利貸しが横行した3。帝政期のコロナートゥス制下では、小作農への種子貸付が領主の義務とされたが、日本出挙のような国家による利子率管理は行われず、地域ごとの慣習法に委ねられていた。ポンペイ出土の蝋板文書には、貸付契約の不履行で土地を没収された農民の記録が多数残る3

ビザンツ帝国のプロノイア制

10世紀のビザンツ帝国で発達したプロノイア制は、軍人への土地貸与と税徴収権委譲を組み合わせたシステムで、日本の荘園制との類似性が指摘される3。ただし、プロノイアが皇帝からの恩恵として個人に付与されたのに対し、日本出挙は律令制的班田収授法と連動した点に根本的差異がある。ニケフォロス2世の法令(964年)では、貸付利子が生産物の1/3に制限されていたが、実際の徴収は現地官僚の裁量に依存していた3

日本出挙の特異性

律令法との統合

養老律令の雑令では、出挙の実施細則を国家法で厳密に規定し、違反者に対し「杖八十」の刑罰を科した3。この法的整備は他地域に類例が少なく、特に私的出挙の利子上限を公権力が管理した点が特異である。正倉院文書に残る延暦3年(784年)の美濃国牒には、利子徴収過誤を糾弾する国司の報告が詳細に記され、官僚機構の厳密な監視体制を窺わせる3

文書管理の高度化

茨城県鹿の子C遺跡出土の漆紙文書(8世紀後半)には、出挙稲の貸付日付・数量・返済期日が墨書され、朱印による検証痕が確認される3。このような三次元的文書管理システムは、敦煌文書に残る唐代の貸付記録(単純な帳簿記載)と比較して、極めて高度な事務手続きを発展させていたことを示す。

宗教的統合

東大寺正倉院の「造東大寺司牒案」には、出挙利稲を仏像鋳造の資金に充てた記録が残る3。この経済活動と宗教実践の結合は、カンボジアの寺院貸付とも共通するが、日本では国家機関が直接関与した点に特徴がある。延暦15年(796年)の太政官符には、国分寺の維持費を出挙利稲で賄うよう指示する条文が見られる3

経済思想における位置付け

儒家思想との相克

中国の『周礼』地官司徒に記される「泉府」制度は、国家による物価調整と貸付を組み合わせた理想像を提示するが、日本出挙はむしろ法家思想に近い実利主義を採用した3。『令義解』職員令の注釈では、出挙を「民をして死なしめず」とする儒教的修辞を用いつつも、実際の運営では厳格な返済義務を課していた。

仏教経済倫理

『日本霊異記』上巻第五縁には、出挙稲を横領した国司が地獄に堕ちた説話が収録され、宗教的戒めが経済行為を規制する機能を果たした3。これに対しイスラム圏のザカート(喜捨)は利子取得を厳禁し、全く異なる経済倫理を形成していた。

結論

古代日本の出挙制度は、東アジアの穀物貸付システムと構造的類似性を保ちつつ、律令官僚制の精密な法整備と文書管理によって独自の発展を遂げた。他地域の事例と比較して特筆すべきは、国家による利子率の画一的管理、宗教実践との制度的連携、そして班田制との有機的結合である。今後の課題として、出挙制度が中世の金融慣行に与えた影響の国際比較、または東ユーラシア交易圏における物資循環との関連性解明が期待される。

出挙制度の歴史的展開は、古代国家の財政構造から中世社会の経済活動に至るまで、持続的な影響を及ぼした。制度的起源における共同体の相互扶助機能は、律令制下で租税手段へ転換され、更に中世においては私的金融へと発展を遂げた。「いなかつ」
出挙制度の歴史的展開は、古代国家の財政構造から中世社会の経済活動に至るまで、持続的な影響を及ぼした。制度的起源における共同体の相互扶助機能は、律令制下で租税手段へ転換され、更に中世においては私的金融へと発展を遂げた。「いなかつ」

引用:

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  3. https://core.ac.uk/download/pdf/71785611.pdf
  4. https://kotobank.jp/word/%E5%87%BA%E6%8C%99-82875
  5. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E6%8C%99
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