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マスク氏の「Groikipedia」、ついにウィキペディアの牙城を揺るがす?
2025年10月29日 文:Willow Tohi 記/訳文編集
イーロン・マスク氏率いるxAIが、AIによる百科事典「Grokipedia(グロキペディア)」を立ち上げました。公開初日からなんと約90万本もの記事が閲覧可能という大規模スタートです。
マスク氏と支持者たちは長らく、ウィキペディアが「活動家的な偏り」や「プロパガンダ」に支配されていると批判してきました。Groikipediaは、そうした偏向に対抗する“もうひとつの百科事典”として誕生したのです。
反百科事典が生まれたきっかけ
この構想が形になったのは、マスク氏とウィキメディア財団の間で続いていた摩擦がきっかけでした。転機となったのは2025年1月。ウィキペディア上のマスク氏の項目に、「あるジェスチャーがナチ式敬礼と比較された」との記述が追加されたのです。
マスク氏はこれを強く非難し、「ウィキペディアは“旧来メディアのプロパガンダ”を出典として認めている」と投稿。寄付の停止を呼びかけました。その後、秋には競合サイトの構築に着手し、数週間でAI搭載の“バージョン0.1”を公開。X(旧Twitter)ではこう宣言しています。
「GrokkとGrokipedia.comの目標は、真実、完全な真実、そしてそれだけだ」
ウィキペディアとの根本的な違い
両者の違いはテクノロジーだけでなく、そもそもの哲学にあります。2001年に誕生したウィキペディアは、世界で7番目に多く訪問されるサイトで、数百万人のボランティアが「検証可能性」と「中立的な観点」を守っています。
しかし、そこに使われる信頼度の色分けルールには偏りがあるという批判もあります。たとえばMSNBCのようなリベラルメディアは「一般的に信頼できる」とされる一方、Fox Newsは「やや信頼性が低い」、ZeroHedgeなどは「信頼性に乏しい」と分類されがちです。
マスク氏は、こうした構造が保守派や反主流派の視点を排除していると指摘。GrokipediaではAIがすべての記事を生成し、人間の編集バイアスを排した「事実重視」の情報提供を目指しています。
早くも比較が話題に
公開直後から、両サイトの内容を比較する動きが相次ぎました。代表的なのが「性別移行医療」の項目です。
ウィキペディアは「科学的理解は数十年前から確立している」と書くのに対し、Grokipediaは「エビデンスは限定的かつ質が低い」と説明。また、トランスジェンダーの急増が「社会的影響や伝染効果」による可能性にも触れています。これはウィキペディアにはほとんど登場しない視点です。
また、元Twitter CEOのパラグ・アグラワル氏の項目では、Grokipediaがマスク氏自身の批判発言を掲載しており、これもウィキペディアには見られません。
こうした違いは、「どの情報を“真実”と呼ぶか」という根本的な問いを浮き彫りにしています。
情報をめぐる攻防
百科事典をめぐるこの対立は、AI技術の未来にも関わる重大なテーマを内包しています。ウィキペディアは、多くのAIモデルの学習データ源となっているため、もし内容に偏りがあれば、その偏りがAIに組み込まれてしまう懸念があるのです。
一方Grokipediaは、AI自身が一次的情報源となる新しいアプローチを掲げています。ただし現段階では、非政治的な多くの記事がウィキペディアの文章をそのまま転載しており、マスク氏もその点は認めています。「年内に全記事を独自化する」とのことです。
「知識の独占」を崩す挑戦
マスク氏は「バージョン1.0は10倍良くなる」と語り、AIによる改良を急ピッチで進めています。Grokipediaの登場は、単なる新サイトの立ち上げではなく、「単一の世界観に支配された情報秩序への挑戦」といえるでしょう。
信頼できる知識とは何か。真実をどう定義するのか。
Grokipediaの今後は、テクノロジーと文化の両面で、まさに2020年代を象徴する注目テーマとなりそうです。





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