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世界46人の極地研究者による最新の包括的分析が、「地球工学」と呼ばれる大規模な気候操作の計画について厳しい警鐘を鳴らしました。結論は明快で、「技術的にも政治的にも不可能」「莫大なコスト」「環境への深刻で予測不能なリスク」があるというものです。
巨額・非現実的な計画の実態
報告書では、代表的な5つの提案が精査されました。
- 成層圏に粒子を散布して太陽光を反射させる「エアロゾル注入」は、冬の極地では太陽が昇らないため効果が出ないことが判明。さらに年間6万便以上の飛行が必要で、維持費だけで数十億ドル規模に。
- 南極の氷河を温水から守るために、全長80kmの「海中カーテン」を建設する案もありましたが、推定8兆円規模もの費用がかかり、世界でも最も危険で到達困難な海域での施工は非現実的とされました。
他にも、海洋に大量の栄養塩をまいてプランクトンを増やす「海洋施肥」、北極に微小なガラスビーズを散布して氷の反射率を高める案なども検討されましたが、どれも環境破壊のリスクが非常に大きいことが浮き彫りとなりました。
受け入れがたい環境リスク
特に危険視されるのが「予期せぬ副作用」です。
- ガラス微粒子は北極の食物連鎖を毒する可能性。
- 海洋施肥は酸素不足を引き起こし、海の生態系を壊す恐れ。
- 大規模な太陽光反射策を途中で中止した場合、温暖化が一気に加速する「ターミネーション・ショック」も懸念されています。
政治的ハードルの高さ
環境リスクに加え、政治的・国際法的な合意形成も極めて困難です。
- 南極は国際条約により多国間の合意が必要ですが、過去にこれほど大規模な計画が承認されたことはありません。
- 北極はロシアなど8カ国の利権が競合する地域であり、緊張の絶えない中で協力体制を築くのは非現実的です。
- さらに、氷や海と共に生きる先住民コミュニティも強く反対の声を挙げています。
科学者の結論
報告書の筆頭著者であるマーティン・シーガート教授(エクセター大学)はこう断言します。
「これらの地球工学のアイデアは善意で提案されているかもしれませんが、実際には極地や地球を守るどころか、むしろ危険を増やす可能性が高いのです。」
科学者たちは、こうした「一発逆転の夢の技術」に頼るのは大きな誤りだと強調します。本当に必要なのは、温暖化の根本原因である化石燃料の使用を減らすこと。派手な技術的解決策に惑わされてはならず、実証済みの現実的な取り組みに専念すべきだと結論づけました。





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